前回
の続きです。
前回の記事では、上回転をしっかりかけるチキータを例として
要するに、バックスイングで上げた肘を下げるように上腕側から前腕に力を加えると、<前腕+手+ラケット>の系の重心を中心とした回転運動が生じて、ラケットが上方向に振られるというわけです。
という内容を紹介しました。
ソフトボールのブラッシングの例
これと似た原理は、例えばソフトボールのブラッシングと呼ばれる技術で活用されています。
ブラッシングとは、投球の際に前腕の肘の近くを腰周辺にぶつけることにより、球速を上げる技術です。
力学的な解説は、以下の動画で見てください。
この動画では、おおよそ次のことを説明しています。
前腕を腰にぶつけることにより、前腕に(投球方向に対して)後ろ向きの力が加わり、前腕全体の速度は落ちる。
しかし、前腕部分が回転運動をすることで、末端にある(≒手に握られた)ボールが加速される。
卓球への応用
ブラッシングで前腕を腰にぶつけるのは、前腕の肘の近くに後ろ向きの力を加えるためです。
このため、この効果を得られるなら前腕をぶつける必要はありません(前腕を何かにぶつける卓球の技術は、、、思い当たりません)。
例えば、バックハンドドライブで、前腕が前に振られている状態で肘を後ろに引いてあげれば、ブラッシングと同様な効果が得られるはずです。
改めてyoutubeでバックハンド系の動画を探してみると、卓球平社員さんの動画
で、卓球平社員さんが「円を描くように打つ」と言い、沼村選手が「打ったらラケットがあっち向くように(≒ラケットの先端が打球方向に向くように)」と言っている部分があります(15:10~)。
この時の沼村選手の動きは、肘を引いているように見えます。
どうやら、沼村選手は、上で紹介した原理を使ってバックハンドを振っているようです。
原理を動きに落とし込む方法
「円を描くように打つ」という説明は、この原理を動きに落とし込むためのすごく良い言葉だと思います。
円運動のためには運動する物体(つまりラケット)を円の中心に向けて引っ張る力が必要なので、ラケットが円を描くように振れば、肘を引く動作が自然にできるわけです。
よりよい動きをマスターするためには、「円を描くように打つ」感覚をベースにして調整するとよさそうです。