少し前になりますが、マッスルスラックに関連して、
で、
この共収縮を、
正方向への動作の前に共収縮の状態をつくり、
正方向への動作を開始しようとする時点で拮抗筋の活動を止めることによって、
複合体の十分な予備緊張を得る
ように利用します。
これにより、主働筋を含む複合体の弛みがない状態で動作を開始し、動作開始とともに速やかにその複合体の張力を発揮させるわけです。
ということを紹介しました。*1
コンパクトなバックハンドや、卓球台が邪魔になってバックスイングを十分にとれないフリックであっても、このような動作はできそうです。
そこで、上の、共収縮を利用することによりマッスルスラックを解消し、速やかにラケットを加速する方法をフリック等に活用できないかと思い、調べてみました。
調査結果
悲しいかな、バイオメカニクスについては素人なので、情報を見つけられません。
但し、筋腱複合体を一度伸ばすことにより急速に縮めるような運動(伸張―短縮サイクル(Stretch-Shortening Cycle: SSC)運動)については情報がありました。
SSCを使う動作の代表例は、反動をつけたジャンプです。これについてはよく紹介されています(例えばこちら)。
しかし、前腕部のSSCの研究は、これからの模様です。
以前から広く知られているSSCにしても前腕部についての研究はこれからのようなので、上のような共収縮の活用方法の研究もこれからなのでしょう。
フリックについて妄想してみた
情報がないので妄想してみました。
フリックの場合、ボールをフラットに叩くと安定して打球を台に入れることが難しいので、少し前進回転をかけるように打つことが一般的と思います。
フォアフリックにせよ、バックフリックにせよ、手首を橈屈させる動きがこれに使えます。
橈屈とは
橈屈とは、手首の関節を親指の方向(橈骨のある側)に曲げることです。
ラケットを持った手で表すとこんな感じです。
反対に、手首の関節を小指の方向に曲げることを尺屈といいます。
手首を橈屈させる筋肉
手首を橈屈させる筋肉として、腕の前側に橈側手根屈筋、後側に長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋があります。
拮抗筋
橈屈⇔尺屈の関係において、上述した筋肉に対する拮抗筋は、手首を尺屈させる筋肉である尺側手根屈筋と尺側手根伸筋です。図は省略します。
妄想の概略
ここで、妄想の概略を示しておきます。
- フォワードスイング(正方向の動作)の前に、手首を橈屈させる筋肉と尺屈させる筋肉の両方を収縮させて共収縮の状態をつくり、
- フォワードスイングを開始する時点で、手首を尺屈させる筋肉(拮抗筋)の活動を止めることによって、
- 手首を撓屈させる筋肉と腱(複合体)の十分な予備緊張を得て、バックスイングせずに速やかにラケットを加速させる。
(続く)
*1:これらは「コンテクスチュアルトレーニング」に書かれている内容です。