今回は、視点を変えてさらに梃子関連の話をします。
ペンホルダーグリップと梃子
ペンホルダーグリップの台上処理は、
という、第3種の梃子を利用していると考えられます。*2
以下、特にフォアフリックについて、梃子の原理に関連して考えた内容を紹介します。
中指の位置について
裏面の指を曲げる場合
裏面の指を曲げて握ると、中指の位置(力点)が親指の位置(支点)に近づきます。
中指の位置が親指の位置に近づくと、小さな中指の動きで大きな打球点(作用点)の動きを得ることができます。
見方を変えると、中指の動きが少し変わるだけで打球点の動き、打球面の向きが大きく変わるため、打球が不安定になりやすいと言えるでしょう。
裏面の指を伸ばす場合
裏面の指を伸ばして握ると、中指の位置(力点)が打球点の位置(作用点)に近づきます。
中指の位置が打球点の位置に近づくと、上の場合と同じ力(中指が発揮する力)で打球点(作用点)により大きな力を伝えることができます。
見方を変えると、曲げた場合と同程度に中指を動かしても、打球点の動き、打球面の向きは大きく変わらないため、打球が安定しやすいと言えるでしょう。
シェークハンドグリップの場合(参考)
シェークハンドグリップの握り方は、
- 親指と人さし指でブレードを挟むことを意識して握る
- 中指、薬指、小指(のうちの一部の指)を意識してグリップ部分を握る
の2種類に大別できるようです。
また、シェークハンドグリップのフォアフリックの場合、
- 作用点:ラケット面がボールと接する点
は、ペンホルダーグリップの場合と同じです。
しかし、支点と力点がどこになるかが、はっきりしません。
中国では、シェークハンドのフォアハンドは、人さし指の第一関節でラケットを押すように意識すると言われています。*3
仮に力点が人さし指の第一関節だとしても、支点がどこかがはっきりしません。
シェークハンドグリップのフォアフリックの場合、支点と力点、特に支点がはっきりしないことから、梃子の原理が有効に活用されていないように思います。
そして、このことがシェークハンドグリップでのフォアフリックの難しさにつながっていると推測しています。*4
まとめ
ペンホルダーグリップについて梃子の原理に基づいて説明した内容は、一般に言われているペンホルダーグリップの特徴と合致している点が多いと思います。
また、ラケットで梃子の原理を使えることが、ペンホルダーグリップでフォアフリックがやりやすいことに影響していると推測しています。
*1:日本式ペンホルダーやバックフリック(表面)の場合、人指し指でラケットを支える、つまり人指し指が支点になることがあります。
*2:上腕等からの運動連鎖も使われています。
*3:10年ほど前の情報ですが、「世界最強 中国卓球の秘密」より。
*4:妄想に近いかも。