昔から謎に思っているのが、なぜ一流選手はコンパクトなバックスイングで威力あるバックハンドを打てるのだろうということです。
最近の例をあげると、伊藤美誠選手
とか、張本智和選手
とかです。
皆目見当がつかないので、予備知識を得るために、スポーツ全般を対象にスイングのメカニズムとして提唱されている内容を調べてみました。
なお、今回の一連の話は、主に肩から先の使い方に焦点を合わせています。
ムチ動作(運動連鎖 、キネティックチェーン)
...と言いながら、最初は、肩から先に限らない一般的な話から始めます。
投球や打撃などにおいて、身体をムチのように動かすことによって、末端部のスピードを高めようとする動作をムチ動作といいます*1。
ムチ動作を行ったときの体のパーツごとの速度は、次の図のように、末端部(先端側)に近づくほど速くなります。引用元はこちら。
やり投げ等の例ですが、こちらのページの説明が参考になります。
ムチ動作の実現方法
さて、このようなムチ動作をどのようにして実現するのでしょうか。 (上のやり投げ等のページには、「運動エネルギーの転移」と「反動動作を使う」ことが記載されています。)
ムチの先端に近づくほど速度を上げていくために使えそうなメカニズムとして、次の3つがありました。
- ムチの根元側の動きを止める(根元停止型)
- ムチの根元側をタイミングよく動かす(根元動作型)
- ムチの先端側をタイミングよく動かす(先端動作型)
根元停止型等の名称は、筆者が便宜上つけました。
根元停止型の例
野球やゴルフをプレーする人なら、「左の壁」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、根元停止型の代表例です。スイングを始めた後、左の壁を意識して体幹部の動きを停止させることにより、バットやシャフトのスイングが速くなる方法と言ってよいでしょう。
また、以前の記事
で説明したフォアサーブの出し方も、根元停止型の一例です。
変形例として、ゴルフの例で、胴体を加速し、その加速を弱めることでヘッドを走らせるというやり方が提唱されています。こちらのスライド14のフェイズ2を参照ください*2。
根元動作型
二重振り子と呼ばれているものです。詳細はこちらを参照ください。イメージは
です(上のページより抜粋)。
関節2(図の例では肘関節)において、前腕を回転させるための力を発生させていないことがポイントです。
しかし、どのように関節1を動かせばよいのだろう。実のところ、根元停止型と同じように、関節1の動きを停止させることがポイントかもしれません。
先端動作型の例
今回調査している中で、先端側を適切な時に動作させるから、作用反作用の法則によって根元側の速度が遅くなる、ということを提唱している文献があったと思います。
どの文献だったか思い出せないので、わかり次第追記します。
(次回以降に続く(はず))