TTmemorandumのブログ

卓球上達のためのヒントを提供します

スイングのメカニズムについて調べてみた(2)

前回は、ムチ動作、二重振り子等についての話をしました。

ただ、もともとの問題意識だった「なぜ一流選手はコンパクトなバックスイングで威力あるバックハンドを打てるのだろう」を説明するには、この2つでは足りないようです。

例えば、ムチ動作の仕組みをバックハンドに適用すると、上腕、前腕を振ってさらに手首のスナップを利かせる動きになるでしょう。

しかし、伊藤選手

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にせよ、フォーム改造後の張本選手

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にせよ、それほど腕を振っているようには見えません。

もう少し調べが必要なようです。

「打ち型」と「突き型」

スイングは、ラケットを介してボールという対象物に衝撃力を与えます。

対象物に衝撃力を与えるための体の動きには、(1)スイングや回し蹴り

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のように、体の各部分を回転させて打撃位置の速度を大きくする体の動きの他に、(2)格闘技のパンチや突き

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のように、体の各部分が対象物に向かってほぼ直線的に移動する体の動きがあります。

(1)の動きの型を「打ち型」、(2)の動きの型を「突き型」ということがあります。*1

卓球では、(1)は、(中後陣での)フォアハンドドライブやバックハンドドライブ、(2)は、ペンホルダー選手の表面を使ったバックプッシュが代表例でしょう。

「突き型」と「打ち型」のハイブリッド打法か?

上に例示した伊藤選手、張本選手の打ち方は、上腕、前腕はあまり大きく回転していませんが、特にバックスイングからインパクトにかけて、手首から先が大きく回転しているように見えます。

特に張本選手については、

  • 上腕、前腕は「突き型」
  • 手首から先は「打ち型」

で動いているように見えます。いわば、「突き型」と「打ち型」のハイブリッド打法です。

*1:「打つ科学」、平野裕一著、大修館書店。「打つ科学」に記載されたこの内容は、吉福康郎氏の研究を紹介したものであり、おそらく「スポーツ上達の科学-強くなる・うまくなるバイオメカニクス-」(講談社ブルーバックス)にも掲載されていると思います。