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フォアハンドのスイングの速さと体の柔らかさとの関係

昨日(2022/1/30)、全日本卓球選手権が終わりました。

女子シングルスで準優勝した早田ひな選手は、中国選手にパワーで対抗できる数少ない日本選手であると同時に、体が柔らかいことで有名です。*1

ただ、体が柔らかい(≒関節の可動域が大きい)と速いスイングをできるかというと、必ずしもそうではなく、むしろ反対の傾向がみられることが報告されています。

報告内容

全日本ナショナルチームの男子選手について、おそらく2017年ごろに、フォアハンドトップスピンストロークを行った時の肩と腰の関節運動の特徴を調査した結果(本文はこちら)が公開されています。

この中の「Ⅳ 考察」(P.180)には、次のことが記載されています。

関節可動域が小さい,あるいはバックスイングの小さなスイングを実施する対象者ほど,ラケット速度が大きく,スイング時間が短くなる傾向がみられた。*2

言い換えると、関節可動域が大きい(≒体が柔らかい)ほどラケット速度が小さく(遅く)なる傾向がみられたということです。

まとめ

他の条件が同じであれば、スイングが速いほど打球が速くなります。

早田選手のパワフルな打球には、体の柔らかさよりも、体の使い方、打球フォーム、筋肉の質・量等が寄与している可能性が高いです。

*1:体が柔らかいことは、上田晋也のメダル話のこの回で紹介されました。

*2:同時に、「Ⅴ Limitations」のP.183には、「本研究では分析対象となる当該試技のパフォーマンスとの関連にのみ着目しているため,障害との関連については一切無視している.長い目で,高い競技パフォーマンスを維持するには,その瞬間におけるパフォーマンスの最大化だけでなく,障害のリスクを減らすことも同時に考えるべきことである.そのため,卓球競技において関節可動域は小さい方が良いという結論には至らない」と記載されていることに留意しましょう。