TTmemorandumのブログ

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ラケットを速く振るほど速い球を打てる、わけではない?

一般に、ラケットを速く振るほど速い球を打てると言いますが、これが常に正しいのかどうかを疑問に思っています。その内容について書いてみます。

球を打つこと

卓球の場合、手に握ったラケットでボールを打ちます。球を打つことは、ボールという物体とラケット(+手、腕等の人体の一部)という物体との衝突運動と考えることができます。

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その時にボールに伝わる衝撃力は、あらかじめ加速しておいたラケット、手、腕等を主体とする部分(以下、ラケット側)の運動量が、短時間のうちにボールに伝わることによって発生します。

ここで、運動量=質量×速度です。ラケット側の運動量は、ラケットがボールに与える衝撃力に関係します。そして、ボールに与える衝撃力を大きくするには、次の2通りの方法があります。

  1. ラケット側の速度を速くする(ラケット側を速くする)
  2. ラケット側の質量を重くする(ラケット側を重くする)

ラケット側を重くするとは?

同じ人が同じラケットを振るときに、ラケット側を重くすることはできるのでしょうか。

スイングの方法によって、ラケット側を重くしたり軽くしたりできると思います。

例えば、インパクト時に手首の力を抜いて(スナップを利かせて)振る場合(以下、打法1)は、ラケット+手が、球に衝突すると考えることができます。

これに対し、インパクト時に手首を固定して振る場合(以下、打法2)は、手と前腕が一体化して、ラケット+手+前腕が、球に衝突すると考えることができます。

衝撃力への影響

打法1,2と衝突との関係は、それぞれ以下のように説明できるでしょう。

  • 打法1:軽い物体(ラケット+手)が速い速度でボールと衝突する
  • 打法2:重い物体(ラケット+手+前腕)が遅い速度でボールと衝突する

上述したように、運動量=質量×速度なので、例えば打法2のラケット側の速度が打法1の半分になっても、打法2のラケット側の重さが打法1の2倍を超えれば、ラケット側の運動量(→衝撃力)が増加します。

つまり、上に書いた状況があり得るなら、ラケットを速く振るほど速い球を打てる、とは限らないことになりそうです。

...さて、これは正しいでしょうか。

なお、話を単純化するために、球に回転をかけること、物体の回転運動、モーメント等は捨象しています。