TTmemorandumのブログ

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カットを安定させる2つの方法

カットを安定させる方法について、世界レベルの元選手2名が対照的な見解を述べているので、ここで紹介します。

第1の方法

最初の方法は、『非才!―あなたの子どもを勝者にする成功の科学』に紹介されています。

元英国代表選手のマシュー・サイド氏(黄色のユニフォーム)

youtu.be

は、彼のコーチであった陳新華氏(元中国代表選手。えんじ色のユニフォーム)

youtu.be

の教えを実行したことにより、フォアカットの精度と安定性が数か月で向上した-フォアカットが連続して200回以上打てるようになった-といいます。

その教えは、

「どんなショットにたいしても、あらゆる点でまったく同じストロークを身につけろ」。

(右耳から足首まで)大きく弧を描いて、膝の角度はぴったり80度でまったく同じ高さでネットをとらえる(ボールをとらえる?)ように指導されたとのことです。

これをマスターしたことにより、カットが失敗したときに、何が悪かったかを即座に特定できるようになり、それが自動的な改良と再調整につながったといいます。*1

第2の方法

2番目の方法は、『続 卓球 戦術ノート 』に紹介されています。

元日本代表選手の高島規郎

www.youtube.com

は、

「スイングというものは、無限に存在する。すべてのボールを同じスイングラインで打球することは不可能である

という考えです。

この考えに基づき、

「縦のラインを一定にし、高・中・低の打球点でボールをとらえる練習をしておけば、同じダウンスイングの中にボールを呼び込んでカットすることが可能だ」

としています。縦のラインについて、卓球王国のHPで紹介されている内容を示します。

https://world-tt.com/ps_images/Maker/Z/BZ002-R-3.jpg

要は、選手は前後方向に動かず、台から(打球点まで)の水平距離を一定にして打球することを提唱しています。こうすると、打球点は前後に変化せず、上下に変化します。

「縦のライン」とは、その上下方向のラインを指しています。

高島氏はさらに、

「ボールの深さを瞬時に判断して、その短い時間に動き、なおかつバックスイングをとってカットするというのは、完全に上級者の練習だ」

と断言し、

「ともかくこれからの卓球では、いかにして凡ミスをなくすかが、勝負のポイントになる。そこで、この『縦のライン』を頭に入れて練習をすることが重要なのである」

としています。*2

何が同じか?

両者の共通点は、カットを安定させるために、何かを一定にするということです。サイド氏はストローク全体(≒スイング)を一定にし、高島氏は縦のラインを一定にすると言っています。

何が違うか?

両者の相違点は、打球点の高さを変えるか否かという点です。サイド氏は打球点の高さを変えず(筆者の理解が正しければ)、高島氏は打球点の高さを変えると言っています。

他の相違点は、相手のボールが変化したときにスイングを変えるべきか否かという点です。サイド氏はストローク全体(≒スイング)を変えず(=一定にし)、高島氏は「すべてのボールを同じスイングラインで打球することは不可能である」、つまりスイングを変えると言っています。

(続く)

*1:第1部第3章中の「フィードバックループ」より。

*2:第1章 01「戦術の前に、まず打法あり」より。