前回
の続きです。
前回は、カットを安定させるために、サイド氏はスイングを一定にし、高島氏はスイングでなく縦のラインを一定にすると言っていることを紹介しました。
縦のラインについて、卓球王国のHPで紹介されている内容(著書のページのコピー)を再掲します。
図はカットの例ではありませんが、考え方はカットでも同じです。
試合でカットが入らない時の対処法
ここまでは技術を習得するときの話ですが、試合でカットが安定しないときにはどうすればよいでしょうか。
サイド氏の著書には関連する記載がありませんでした。そこで、前回紹介した高島氏の著書(『続 卓球 戦術ノート』)からその一部を紹介します。*1
試合中にカットが入らなくなる原因として、スイングする時のタイミングと打球点がバラバラになってしまうことが考えられるとのことです。
このときに心がけることが3つ紹介されていて、1つは、
「できるだけ打球点を一定にしてスイングする」
ことです。*2
打球点を一定にするとは、カットの打球点の高さを自分にとって一番安定する高さにすることであると、図入りで紹介されています。
そして、そのために、
「常にBの高さ(筆者注:カットが一番安定する高さ)でインパクトできるよう、相手ボールの長短に合わせて前後の距離を調整することが必要になる」
としています。
謎
一番安定する高さでインパクトするためには、相手の打つボールの深さ・高さを判断し、自分が前後に動いてカットすることが必要です。
これは、前回の記事で『続 卓球 戦術ノート』から紹介した、
「ボールの深さを瞬時に判断して、その短い時間に動き、なおかつバックスイングをとってカットするというのは、完全に上級者の練習だ」
を実行することに他なりません。
つまり、この本では、試合中にカットが入らないという緊急事態に、上級者の練習をすることを提唱しています。
ここが謎です。
一般論として、試合のように緊張している場面で、この本の読者と想定される初級~中級者が、普段練習でやらない上級者の練習をやってうまくいくとは考え難いためです。
より新しい情報
近年、高島氏は、「高島塾」を開講して、指導と様々な情報発信をされています。
上の謎についてもやもやが残るので、この記事を書くにあたり、高島塾のyoutube等を確認しました。
すると、フォアカットの基本を紹介している動画(2021/11/20付)がありました。
打球点については、1:40頃から、
「インパクトするタイミングは、自分の一番カットのしやすい位置。特に腰の高さくらいですね」
と説明しています。
さらに、動きについては、
「できるだけ足をこまめに動かして、ニュートラルの位置に戻って動くようになれば、カットは安定してきます」
と説明しています。
一方、縦のラインについては説明がありません。
まとめ(勝手な推測)
説明内容が『続 卓球 戦術ノート』の内容からだいぶ変わっているようですが、これまでの指導の経験からフィードバックを得て、説明内容を進化させたのだと思います。*3
その結果、打球点を一定にすることを(まず)伝えるべきと整理したのでしょう。
そうであれば、謎が解けそうです。