マッスルスラック
コンパクトなバックハンドの打ち方
について調べているうちに、気になった情報があるので紹介します。
筋肉と腱
筋肉は、一般に腱を介して骨に付着しています。
上は、味の素(株)のWebページに掲載されている図です。
筋肉は力を発揮して収縮することができ、筋肉が収縮することによって骨が動きます。
腱はバネのように働くと言われており、引き伸ばされると元に戻ろうとします。代表的な腱は、アキレス腱です。
マッスルスラックとは
上の図の腱と筋肉との複合体(以下複合体)、つまり、腱-筋肉-腱は、常にピンと張っているわけではありません。ここに弛みがある場合、筋肉が発揮した力は、まず弛みをとるために使われます。
弛みがとれ、ピンと張った上ではじめて、筋肉の収縮が骨を動かすために使われます。
この、複合体に若干の弛み(Slack)がある状態、この弛みにより力の伝達に時間的な遅れが生じること等は、マッスルスラックと呼ばれています。*1
問題点
コンパクトなバックハンドを打つ場面を始め、卓球の場合、相手の打球から自分の打球までの時間が非常に短いです。はっきりした数字を持っていませんが、中級者の前陣でのラリーで400ms~600ms程度でしょうか?
この時間の中で、打球の準備をして、バックハンドで球を弾くために必要な張力を得ることが必要です。これが間に合わないと、ラケットが十分な速度を得られず、打球に威力がでません。
一方、複合体の弛みをとって力を発揮するための時間的オーダーについては、鉛直スクワットジャンプの場合に筋力発揮開始から離地まで400ms程度かかり、その間にマッスルスラックの影響が徐々に減少するということが、「コンテクスチュアルトレーニング」で紹介されています。
どうやら、この複合体の弛みをとることの影響は、ばかにならなさそうです。短時間で打球を完了させなければならない場合、複合体の弛みがない状態で動作を開始し、動作開始とともに速やかに張力を発揮させたいところです。
さて、どうしたらよいのだろう。
(続く)
*1:調べた範囲では、『腱・収縮要素ともに「弛んだ」状態』、『筋が緊張し、効力を発揮できる状態になるまでに増加させなければならない張力の度合い』、『筋の収縮要素が短縮して、筋腱ユニットを介して骨に筋の収縮力が伝わる時、初期の段階では筋腱ユニットに若干の弛み(Slack)があることで、力の伝達に時間的な遅れ(Delay)が生じるばかりでなく、筋の無駄な収縮エネルギーが費やされること』などがマッスルスラックと呼ばれています。