第72回全日本実業団卓球選手権大会(以下全日本実業団)が、昨日(2022/7/3)終了しました。男子はクローバー歯科カスピッズ、女子は中国電力が、それぞれ優勝しました。
特に男子は、ベスト8のシードのうち4チームが棄権する波乱の展開でした。
そんな中、戦前に誰も予想していなかった(失礼!)のが、TOKYO GAS(以下東京ガスと表記することあり)の決勝進出です。
TOKYO GASは、決勝トーナメント3回戦で、東京ガス千葉を予選リーグで下した関西卓球アカデミー(日本卓球リーグで2部2位)に3-2で競り勝ち、他のシードチームが棄権するなか、足元をすくわれることなく決勝に進出しました。
東京ガスは、日本卓球リーグに参加していないこともあり、多くの人にとって謎のチームだと思います。
そこで、公開情報、かつて東京ガス卓球部に在籍していた人から得た情報のうち公開しても問題ないと思われる情報等を用いて、東京ガス卓球部を勝手に紹介します。
1.歴史
- 少なくとも1980年代からほぼコンスタントに全日本実業団に出場している*1、長い歴史を持つチームである。
- かつては、高校卓球界の名門、熊谷商業高校*2から入社する部員がチームの主力であった。*3
- その後、熊谷商業高校が卓球部の強化を止め、同校から入社する選手がいなくなった。
- そんな中、熱心に卓球に取り組む部員がいて、その人のつながりで有力な選手が集まり始めたようである。
- ある時期に会社の採用制度が変わり、関東・関西の大学の1部校の選手が社員として採用されることが増えた(卓球が強いから採用、ではない模様)。
- 千葉県に勤務する選手で団体戦を戦える程度に選手が増えたため、東京ガス千葉としてチーム登録するようになった。これにより、団体戦に出られる選手が増えた。
- 2018年上期の日本リーグ2部に東京ガスとしてスポット参加し、6位となった(今回決勝で対戦したクローバー歯科カスピッズ(当時はクローバー歯科)とも対戦し、敗れている)。
2.現在
- 今大会でベスト8以上に初めて進出。過去最高はベスト16(2016年(東京)、2017年(東京、千葉)、2018年(東京)、2019年(東京))。
- JTTL選抜卓球大会では上位の常連である。
- 練習場は東京都江東区にある。
- 選手は、一般社員として仕事をして、終業後か休日に練習をしている。
- 東京のチームにも関わらず、鹿児島出身者が多い(2021年度JTTL選抜卓球大会(中止)の登録選手11名のうち、5名が鹿児島出身者)。
- というか、名前に「東京」が付いているチームであるにも関わらず、上の登録選手に東京出身の選手が含まれていない。
- 今大会で活躍した南波選手の奥様は、Tリーグ・トップおとめピンポンズ名古屋の南波侑里香選手。奥様のtwitterの一番上の絵は旦那様の似顔絵かな?
- 卓球部部長は、東京ガス(株)の専務執行役員*4*5。かつて全日本実業団でプレーした選手でもある。
卓球で飯を食べていくのとは別の、いかにも実業団といったチームがファイナリストになった大会でした。
とはいえ、会社が積極的に卓球部を強化したという印象が薄い点は、全日本実業団の決勝に進出したチームとしては珍しいと感じます。*6
東京ガス卓球部の皆様、関係者の皆様、本当におめでとうございます。
*1:軟式での出場を含む。
*2:水谷隼元選手等を指導した吉田安夫先生(故人。元青森山田高校監督)が最初に率いたチーム。吉田先生が最初に全国大会に送り出した選手は、その後東京ガス卓球部で活躍(「闘将―全国優勝一〇〇回の偉業はなぜ達成できたのか」より)。
*3:その他の選手は、高校卒で都道府県レベルの強豪選手、関東学生の2~4部校に在籍していた選手等であった。
*4:日本リーグスポット参戦時と同じ人のはず。
*5:2023/3/23、人事異動に備えて、Webpage Archive上のデータを参照するようにURLを変更しました。
*6:練習場所の提供、その他の支援はあるにしても、日本リーグに参加していないように、あくまで一般社員による活動の範囲にとどめている印象があります。