骨盤・股関節の使い方を調べていたところ、昨年 ttmemorandum.hatenablog.jp で紹介した、「一流卓球競技者の肩と腰の可動性が身体移動を伴う場面におけるフォアハンドトップスピンストロークに与える影響」という論文の中に、気になる情報を見つけました。
腰の回転
他のスイング系のスポーツと同様、卓球においても、スイングの際に腰を回転させることが大切とよく言われます。例えば、以下のWebページを参照。*1
先の論文には、もう少し詳しいことが書いてあります。
それは、フォアハンドドライブの際に、骨盤の向きと胸郭の向きとにずれが生じることです。*2*3
骨盤、胸郭は、次の場所を指します(画像はこちらのWebページのものです)。
ずれについて
水平面について「ずれ」を示します。
これは、ゴルフでいうXファクター、捻転差と同様なものでしょう(画像はこちらのWebページのものです)。
図の「腰のライン」が骨盤の向きに対応し、「肩のライン」が胸郭の向きに対応する、はずです。
ずれが最大になるタイミング
以下の図は、この論文に基づいている(と思われる)Webページのものです。
骨盤の向きと胸郭の向きとのずれが最大になるのはいつでしょうか?
論文から引用します。
胸郭はすでにスイング方向へ回転し始めていたが,骨盤よりも胸郭の回転速度が小さかったがために胸郭に相対的な遅れが生じていた
言い換えると、骨盤も胸郭もスイング方向に回転し、かつ、胸郭より骨盤の回転速度が大きいときに、このずれ(すなわち、骨盤に対する胸郭の遅れ)が大きくなります。
よって、ずれが最大になるのは、図中の「相対的な遅れ」のどこかの時点でしょう(論文と上の図の両方で「相対的な遅れ」という同じ語句が使われていることから推測しました)。
その後、そのずれが解消されます。つまり、胸郭が骨盤より速い速度でスイング方向に回転し、インパクトを迎えます。
今回はここまでです。
*1:腰の位置は、人によって示すところが違いますが、掘り下げないでおきます。
*2:論文では、「ずれ」の代わりに「体幹関節」の回旋として説明されています。しかし、体幹関節の明確な定義は論文に記載されていません(「腰(体幹関節)」との記載はありますが、腰がどこを指すかは不明確なので、有用な定義ではありません)。また、解剖学の入門書を確認したりgoogle検索したりする範囲では、体幹関節という用語の定義を見つけられませんでした。このため、体幹関節という用語を使うと説明が不明瞭になると考え、この記事では体幹関節という用語に関係なく説明できる範囲で紹介しています。
*3:ずれの存在は、P.181の「(骨盤よりも)胸郭に相対的な遅れが生じていた」という記載から読み取ることができます。